子どもの参画情報センター設立までの経緯

 「子どもの参画」は、ハート氏の数度の来日とともにその一部が紹介され、とくに「参画のはしご」についてはよく知られていました。今回の日本語版の出版(2000年10月)は、完全な形の1997年英語版の翻訳であり、製作の段階からその内容がより充実したものであり、早くから日本語版の完成が待望されていました。しかし、刊行が大幅に遅れ研究会などのテキストとして活用したいという読者の要望には応えられませんでした。

 そんな折りに実行委員会形式で「子どもの参画フォーラムin東京」(第1回、2000年5月)が企画され、監修者ならびに訳者をゲストに日本の現状を踏まえて議論する、という少人数ながらも小さなフォーラムが開催されることになりました。また続く8月には、著者ロジャー・ハートの来日にあわせて、急遽ふたたび実行委員会が結成し「ロジャーハートと語ろう――子どもの参画」(第2回)を取り組み、さらに日本語版の完成後の11月には「子どもの参画――それぞれのアプローチ」というフォーラムをそれぞれ成功させました。

 この間の3回のフォーラムはいろいろな方々が交流するという積極的な意議があり大きな収穫ではあったものの、参画について(今後ますます増えてくるであろう)もっと深く掘り下げたい、という全国各地からの関心と期待には充分対応できていないのが実情でした。日本の子ども(おとなの)社会をきびしく見つめながら「子どもの参画」というキーワードを恒常的に議論する場が強く求められていることを痛感しないわけにはいきませんでした。

 私たちは、2001年4月末にこの魅力あるテーマに刺激された有志が集い、子どもの参画に関する各地の実践や研究活動、そしてさまざまな情報を交換し共有する「受け皿」となる「子どもの参画情報センター」を立ち上げようとそのための準備(会)をスタートさせました。なお設立される会の特徴は、緩やかな合意の下に取り組む幅広いもので多くの団体ともネットで連携していくものです。

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